5Gは人々がデータにアクセスし操作する方法を変革することを約束しています。特に、5Gの3つのタイプの1つである5G NR mmWave製品には、劇的なハイスピード, 大容量, 低遅延を提供する大きな可能性があります。
パソコン, ネットワーク機器, ゲーム機, 拡張現実(AR) や3D/8k のビデオコンテンツに対応したシステムなどの高速大容量無線通信 (eMBB) 端末に5G NR mmWaveを統合すれば、5G NR mmWaveによる驚異的なパフォーマンス向上で全く新しい世界が開かれます。
5G NR mmWaveは、エンターテインメント体験の強化と生産性向上に加えて、スマートシティアプリケーション向けの接続インフラだけでなく、自動運転車、没入型拡張現実(AR)と仮想現実(VR)体験を含む、まったく新しいIoT(もののインターネット)アプリケーションの実現を支援します。
ただし、ここに重要な点があります。5G NR mmWaveの革新は、24GHzから53GHzに新しく開かれたミリ波周波数帯域の使用を含めて、驚異的な速度やその他のパフォーマンス向上を提供するだけではありません。これらの 5G NR mmWaveの革新は、eMBB商品を生み出すときに技術者が考慮する必要のある一連の新しい設計上の考察事項ももたらします。
次の7つの5G NRのヒントに注意を払うことで、 設計者は製品開発の落とし穴をうまく回避し、5G NR mmWaveモジュールを製品に正常に組み込み、この新しいセルラー規格が提供するすべてを活用できるようになります。
現実問題として、高速動作は熱を発生する傾向があるため、5G NR mmWaveデバイスは高温になる可能性があります。この熱を軽減するには、熱設計への注意深いアプローチが必要です。ソフトウェアまたはハードウェアの修正によって、この課題に取り組む方法はいくつかあります。
ソフトウエアアルゴリズムは、動作温度が高くなりすぎたことをモニターし、例えば、データ転送を一時的に遅くしたり、モデムに送られるデータを制限したりすることにより、温度を低く保つための是正措置をとることができます。 または、5G NR mmWaveモジュールにヒートシンクを機械的に取り付けて余分な熱を逃がすこともできます。
肝心なことは何でしょうか? どんな5G NR mmWaveアプリケーションでも、設計でホットスポットが発生する可能性のある場所を予測し、システムの過熱を防ぐために必要な手順を実行することが重要です。
高速動作は、より多くの熱を意味するだけでなく、より多くの電力が必要であることも意味します。次の点を考慮してください。eMBBデバイスに低出力 5G NR mmWaveアンテナモジュールを使用する場合、システムはさらに4ワットの電力を必要とします。一方で、高出力のmmWaveアンテナを使用する場合、さらに50ワットの電力が必要になる可能性があります。 これらの電力要求を理解することで、開発プロセスが十分に進んだ後に、設計の複雑化に直面することがなくなります。
5G NR mmWaveは、以前の世代の携帯電話からの大きな飛躍です。それは一部のハードウェアも注目すべき変化を遂げることを意味します。ですから、5G NR mmWaveアンテナは他のセルラーアンテナと比較して特別な取り扱いが必要です。
例えば、すべての方向で性能の良いmmWaveアンテナを実現するためには、アンテナからの送信を最適化するようにmmWaveアンテナを注意深くキャリブレーションする必要があります。アンテナ性能は、システム内の他の電子機器によって容易に影響を受ける可能性があります。
課題はそれだけではありません。5G NR mmWaveアンテナに関する別の考察事項は、5G NR mmWaveが動作する24GHzから36GHz の範囲の信号は不透明な材料を透過することが困難な場合があるため、mmWave部分を収容するために選択されたプラスチックは、できる限り透明で透過可能である必要があります。
これらの特有のアンテナの考察事項を考慮に入れることは非常に重要であり、次のヒントで説明するように、設計段階で終わるわけではありません。
アンテナはまだ完成していません。アンテナが適切に機能することを確認するために、5G NR mmWave アンテナは、製造段階で再度キャリブレーションを行う必要があります。
この2次キャリブレーションは、通常、無響室(反射がなく、エコーのない部屋)で行われます。ここでは、システムからの無線周波数(RF)成分の影響を除去し、特性評価が可能になります。5G NR mmWaveモジュール事業者が提供するソフトウェアツールは、アンテナ特性の最適化と歪みの最小化のタスクを簡略化できますので、この選択肢に注意してください。
私たちは皆、ユビキタスUSBポートに精通しており、多くの4Gセルラーデバイスの設計では、USBが最適なインターフェイスでした。しかしながら、5G NR mmWave向けのより良い選択肢としてPCI Express (PCIe) (マザーボード設計の高速コンポーネント用の標準インターフェイス)が登場しています。これは、USBのもっとも高速バージョンであるUSB3でも、5G NR mmWaveの最低データ転送能力しかサポートできないからです。
さらに、USB3を高速で使用し組み込むことは困難であり、システム設計が非常に複雑化することがわかっています。また、PCIeのロードマップは、USBよりもセルラー技術の継続的な進歩に適応できる事を約束しています。これらすべての理由により、多くのサプライヤーは、モバイルブロードバンド用のホストインターフェイスおよびドライバーのPCIeでの標準化を開始しています。
重要なポイントは何でしょうか? 過去にUSBに依存してきた企業は、将来にUSBを使用することを計画すべきではなく、今すぐPCIeに慣れるために時間をかけるべきです。
法規面から見ると、mmWaveアンテナモジュールは、ホストプラットフォームと密接に結びついています。つまり、認証はモジュールレベルよりも、システムレベルに重点を置いています。これは従来行ってきたものとは異なり、デバイスの認証に対する幅広いアプローチです。アンテナ性能だけでは認証を取得することはできません。システムは全体として合格する必要があります。
より良いものにするために、5G NR mmWaveに関する認証要件はキャリアごとに大きく異なる可能性があり、 5G NR mmWaveの一部はまだ進化しています。つまり、特定の要件の取得が必ずしも容易ではないということです。動くターゲットを狙うようなものです。
製品設計者は、システムの特性評価をサポートするだけでなく、法規およびキャリア固有の認証の課題への対応をサポートできるモジュール事業者と協力することにより、開発プロセスの時間と費用を節約することができます。
ネットワークの実装アーキテクチャは進化しており、しばらくの間、いくつかの異なるアーキテクチャ標準が動作する可能性があります。たとえば、レガシーテクノロジー指向の非スタンドアロンオプション3 (NSA Option 3)アーキテクチャは、一定期間、新しいスタンドアロンオプション2 (SA Option 2) アーキテクチャと重複して共存します。
ここで重要なのは、これらのネットワークアーキテクチャのいずれか一つと互換性を持たせるだけで、完全に優れたeMBBデバイスを実現できると、誤って期待しないことです。両方の規格をサポートするモジュールを使用することが最善です。それにより、SAオプション2などの新しい規格がキャリアで使用可能になったとき、デバイスがシームレスに移行できることになります。
これは5G NRの設計ヒントの完全なリストではないことを心にとめておいてください。上記の領域に加えて、送信されるはるかに大量のデータを保護するための最新のセキュリティ技術の使用方法など、 設計者が新しい5G NR mmWave製品を開発する際に留意する必要がある重要な事項が他にもあります。しかしながら、上記の5G NRの設計ヒントは、優れた出発点を提供し、Sierra Wireless(シエラ ワイヤレス)のような、あらゆる種類のセルラー技術の展開に数十年のリーダーシップを持つセルラーエキスパートと提携することで、今後の進路をさらにスムーズにすることができます。
広範なセルラー技術の専門知識に加えて、Sierra Wirelessは、5G製品開発者のデバイス、ソリューション、サービスに関する懸念に対処します。たとえば、Sierra Wirelessは、モジュールの詳細な熱モデルを提供しているため、開発者は実際のハードウェアサンプルで作業を始める前に全体的な熱設計に取り組むことができます。アンテナに関しては、Sierra Wirelessは、特性データがあらかじめロードされたソフトウェアツールを提供し、アンテナモジュールの配置と特性評価の時間を節約します。さらに、Sierra Wirelessは、5G NR mmWave セルラーモジュールにQualcomm®の最新の5GチップセットであるSDX55を使用しており、NSAオプション3とSAオプション2の両方のアーキテクチャと互換性があります。
簡単に言えば、5G NR mmWaveの使用に関する設計上の課題がある場合に、Sierra Wirelessはそれに対する最善の方法を慎重に検討してきました。
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